合同会社Office D

「10人の壁」半年で1年間の売り上げを達成した医療系M&A組織の事例

こんにちは、Office Dの山﨑です。

本日は、「しかるべき量と質の対話の循環が事業成長を生み出す源泉である」という、Office Dが最も組織開発と事業成長において重要視していることをお分かりいただける事例として、創業期の医療系M&Aの組織との半年間に渡るプロジェクトのご紹介を致します。

「山﨑さんに半日のファシリテーションの研修をお願いしたいのです。」

経営者である私の前職の後輩からの相談が始まりでした。

後輩が立ち上げた医療系M&A事業を展開する会社は10名ほどの創業期の組織で、営業のメンバーに対して研修をしてほしいという依頼でした。

なぜ営業メンバーにファシリテーション研修をしたいのかを尋ねると、創業期からM&Aの案件を獲得し、契約を締結させていくための取りまとめとクロージングを社長自身も行ってきたが、なかなかメンバーが同じように動いてくれないので困っている。経営者としては必要な環境や素材やデータなどを全て揃えているはずなのに、メンバーが案件を取りまとめていくためのアクションを自発的に起こしてくれない状況であるとのことでした。

そこで、ファシリテーションのスキルを身につければ双方のメリットやデメリットを整理した上でマッチングポイントを見出してクロージングまで導いていくことができるのではないかと考えて、私に連絡をくれたとのことでした。

私はこの話を聞いて、これはメンバーのスキルではなく組織づくり、そして経営側の問題ではないでしょうかとお話をしました。

社長が伝えたいメッセージを伝わる形で明確にできていないこと、そしてそのメッセージを受け取る関係性がメンバーとの間に築けていないのではないか。そう、前回のコラムでご紹介をしたIT企業のクライアントと同じことが起きているように感じたのです。

そこで、自発的に動くことができる組織づくりをするということにゴールを設定して、その上で必要な研修の内容を考えていく提案をして、半年間の伴走プロジェクトがスタートすることになりました。

その中で、私はひとつだけ社長にある「お願い」をしました。

それは、「私はあなた達にはきっとできると思っている。必ず成果が出ると信じている。」と、言い続けてくださいというものでした。

10点中何点だったかを褒めるのではなく、具体的にできた成果だけを認めて、信じているというメッセージをひたすら言い続けてくださいという約束をしたのです。

こうして、ファシリテーション研修という名前の自立・自走する営業チームの立ち上げプロジェクトがスタートしました。

実際の研修では半年間にわたって営業のメンバーの皆さんには、売り手と買い手のニーズにしたがって行動をするセールスではなく、売り手と買い手の目指すゴールに向かって導いていく役割、ファシリテーターとしての役割を担うのだという意識を持っていただくための意識改革を行っていきました。

研修期間中、メンバーには研修内容の実践と、実践内容の社長と私への報告を面談で行っていただきました。その面談時に社長には、「私はあなた達にはきっとできると思っている。必ず成果が出ると信じている。」と言い続けていただきました。そして、私自身も日々のアジェンダ設定や案件報告のSlackでひたすらメンバーの行動を肯定し続けました。

「山﨑さん、すごいことが起きました!あの案件、セールスメンバーのAさんが自分主導でまとめあげたんです!」

研修開始から3ヶ月が過ぎた頃のある日、社長が興奮気味に話をしてくれました。

一見、研修に伴いメンバーが成長をすることによりもたらした成果という様に聞こえるかもしれません。もちろん、研修を通じてメンバーが成長を遂げている部分もありますが、一番大きく変化をしたのは社長自身の捉え方なのです。

研修前からもこのようなことは起きていたものの、社長自身の視点が「まだできていない部分」にフォーカスをしていたため、盲点となっていたのです。
メンバーひとりひとりの変化を捉え、そのメンバーの変化にフォーカスをし、メンバーを信じる言葉がけをするうちに、社長の意識と視点が大きく変わったのです。
社長自らメンバーの変化と「できていること」を見つけにいくようになったのです。

このようなサイクルが円滑に回り始めてからはメンバーの主体的な動きがどんどん増えていきました。
そうしていくうちに、売り上げにも大きな変化が表れました。なんと、1年分の売り上げ目標をたったの半年で達成をしてしまったのです。

「この半年間の中で一番良かったことは、社長や山﨑さんに繰り返しポジティブなフィードバックを頂けたことです。」

これは、半年間の研修期間終了後にメンバーの皆さんからいただいたお声です。

社長自身の視点が「足りない、できていないこと」から「できていること」へと切り変わったことにより、ポジティブなコミュニケーションの交換からメンバーの主体的な行動が増え、成果を出す組織へと変容を遂げたのです。

上部へスクロール