こんにちは、Office Dの山﨑です。
このコラムでは現在も進行中のプロジェクトも含めたOffice Dの組織変革支援の事例をご紹介いたします。
クライアントからいただいたご相談内容をそのまま遂行するだけでは解決されない本質的な課題に向き合うことをOffice Dでは大切にしています。
ご相談をいただいた内容から私山﨑が課題をどのように捉え、どのような関わり方をしているのか。
こちらのコラムでは、端的な言葉ではお伝えすることができない、事例の内側のストーリーである、Office Dとクライアント企業の関わり方を皆さまにご紹介いたします。
今回の記事の主人公は、第2創業期の社員30名のIT企業です。
こちらのクライアントは組織成長の過程で起きる、いわゆる「30人の壁」に直面している状態でした。会社の方向性が経営とメンバーで共有することができておらず、仕事の成果によって評価の濃淡をつけることが難しい状況にあるため、人事制度を変えたいというご相談が始まりでした。

ご依頼の内容は課題解決のための新たな人事制度の策定でしたが、私は課題はもっと深い部分にあるのではないかと考えました。会社の方向性を共有することが難しい状況の原因は人事制度などの表層的な部分ではなく、組織の深いレベルで共有している価値観や実現したいことについての対話が起きにくくなっていることに原因があるのではないかと捉えたのです。
経営者が考えていること、つまり会社の方向性を伝えるためにはいくつかの段階を経る必要がありますが、私は大きく2つの段階があると考えています。
1つ目は、経営者の中にあるメッセージを人に伝えられるようなレベルで明確にする必要があるということ。2つ目は、明確になった経営者のメッセージをメンバーに伝えるための関係性を整えるということです。
全体的な方向性である経営者のコアメッセージが示されていないと、経営側が何を考えているのかがわからず、現場では何をすれば良いのかわからないという状況が起こります。
また、メッセージが明確になってもそれを受け取るための土壌である関係性が整っていない状況下では、経営者の一方的な意見としてメンバーが受け入れることができないということが起こります。
この2つの段階において、特に私は関係性の問題から先に捉えていくことが重要であると考えています。
経営者のメッセージが明確になることももちろん大切ですが、関係性さえ整っていれば、戦略や方向性などのコアなメッセージが曖昧な状態であっても、非言語のコミュニケーションがスムーズに行われ、ある程度はメンバーに受け取ってもらうことができるのです。
こちらのクライアントの場合は、経営者の考えが大きく変化しようとしているタイミングでした。メンバーがその変化を受け取ることができないという状況が起きているということは、メッセージの明確化とそれを受け取るための関係性づくりの両方を行っていく必要があるのではないかと考えたのです。
そこで、会社の目指す場所の指標となるミッション・ビジョン・バリューの策定と、ミッション・ビジョン・バリューに基づく対話を日常の業務に組み込んだ人事制度を構築するという2つのプロジェクトを同時に走らせていくことになりました。
会社として大事にしていくものは何か、そしてそれを言語化するとどのような言葉になるのかといった、ミッション・ビジョン・バリューを創る議論からメンバーにも参加をしてもらうことからスタートしたのです。
そのプロセスの中で見えてきた問題や関係性の課題を整えるためのアクションをクライアントと共に設計、実行を繰り返しながら今もこの案件は進行中です。
私は、コンサルタントとしての本質は外側からソリューションを提供することではなく、内側に入ることだと考えています。
経営者の想い、メンバーの想い、組織が辿ってきたストーリーなど、外側には見えない組織の内側から関わっていく存在であることを何よりも大切にしています。
さまざまな背景や想いを持つ人が集まって成り立つ組織というものは、人間そのものと同じ
性質を持っています。長い月日をかけて形成されてきた人の性格や性質を一朝一夕で変えることは難しいことと同じく、組織も外部コンサルタントがもたらした提案だけではすぐに問題や課題を解決することはできません。
たとえ時間がかかったとしても見えてきた問題や課題に経営者とメンバーが一体となって歩んでいくための場や機会を大切にしながら、今もこのクライアントと前に進んでいく関わりを続けています。
